連載「CEOの綱渡りな旅」では、技術革新、多様なステークホルダーからのプレッシャー、マクロの経営環境など、CEOが直面する課題について短い記事を書き連ねていく。

第2回は、「声の大きい批判者にアジェンダを決めさせない」

時事問題や社会問題について企業の姿勢を示す行為は、CEOにとって政治的な地雷原になりうる。ソーシャルメディアと政治的偏向の影響で、その危険性はますます高まっている。

ある時には、問題が道徳的に明確であったり、従業員や顧客、その他の利害関係者にとって非常に重要であったりするため、対応は明快であることもある。会社の目的と様々なステークホルダーの目的のベン図が一致している場合、ほとんどのCEOは何をすべきかを正確に理解しているだろう。

しかし、ある時には問題がより曖昧であったり、主要なステークホルダーの関心事とは無関係であったりする場合もある。このような場合、まず自問しなければならないのは、「何かを発信すべきか?」。この問いへの答えがイエスならば、次に問うべきなのは、「なぜか?」である。多くの場合、何も言わないことが正しい対応かもしれない。

声の大きい少数派の利害関係者は、彼らの世界観に沿った特定の対応を求めているかもしれない。このような要求に応じることは、その場での最も簡単な対応に一見思えるが、他の領域における組織の方針や規範の統制を手放すことにつながりかねない。また、他の利害関係者から反発を受けるリスクもある。

意見の多様性は、社会における強みであるだけでなく、集団思考を避けるために組織内でも重要である。しかし、多様な意見への寛容さは、声の大きい少数派が他の人たち全員に口を出したり、会社の方針を決めることを許すわけではない。

企業の目的と利害関係者の利益のベン図を念頭に置いてみると、CEOは潜在的な地雷原のなかで舵取りをするのに役立つはずだ。また、あなた自身とあなたの組織が何を目指しているのかを明確に理解することが重要である。他者の潜在的な反応ではなく、それらがあなたの羅針盤となるのだから。

第1回:「デジタル投資に取り残されていると不安を感じた時に」

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