建設プロジェクトにおいて、委託者はプロジェクトの品質を確保するために、プロジェクトで使用される建設資材のブランドを指定することがよくある。しかし、コストを削減し、より大きな利益を達成するために、プロジェクトを請け負う一部の悪徳建設業者(以下、「請負業者」)は、建設資材の正規品の代わりに低価格の模倣品を購入することもよくある。

 この場合、商標権者が執法機関に請負業者の侵害行為を摘発し、執法機関が商標権利者の摘発請求を受けてから請負業者に対して執法するとき、請負業者は、通常、その製品が模倣品であることを知らなかったり、判断できないことを言い訳にして、自分も被害者であると「無実」に言うことが多い。

 このような場合、商標権利者はどのように自社権利を保護するか?

 一、請負業者が商標権侵害になるか否かの認定

 「国家知識産権局による知的財産権行政執法のための第 1 陣の指導事件の発行に関する通知」(国知発保字[2020]52 号)の事例 3には、「当事者が被疑侵害資材を購入し、その請け負った建設プロジェクトで使用しようとする行為は販売行為に同等するとみなされ、商標法第57条第3項に規定する侵害行為に該当する」ことが明らかに記載されている。

 まず、労働力や資材を請け負う請負事業活動において、特に建設土木や装飾工事の分野では、請負業者は資材を購入するだけでなく、資材の設置や使用にも責任を負う。請負業者は、営利目的で被疑侵害製品を使用するため、一般消費には属しない。

 そして、請負業者が購入した模倣品を建設に使用し、最終結果の一部として発注者に引き渡した。その取得した代金には模倣品の対価が含まれており、模倣品の所有権がプロジェクトの成果納品とともに有償で譲渡され、発注者と請負業者とは本質的に売買の法的関係にある。その行為は販売行為の特徴に適合するため、請負業者による模倣品の使用は、「商標法」第57条第3項に規定する商標権侵害に該当する。

 二、請負業者が賠償責任を負うか否かの認定

 「商標法」第64条第2項には、「登録商標専用権の侵害商品であることを知らずに販売したときは、当該商品を合法的に取得したことを証明でき、かつ提供者について説明できる場合に限り、損害賠償の責任を負わない。」と規定されている。請負業者が「知らない」か否か、賠償責任を負うか否かについて、次の要素を総合的に考慮して判断することが考えられる。

 1)侵害された商品の商標の知名度

 2)被疑侵害製品の仕入価格と仕入先

 3)侵害された商品の特殊な性質

 4)請負業者が警告、処罰又は提訴されたこと等があるか

 まず、商標の知名度が高ければ高いほど、商品の市場における影響力が大きく、請負業者がその商品や商標を知っている可能性が高く、その分注意義務も高いと思われる。

 また、仕入価格と仕入先にについて、請負業者は、価格が同種類商品の市場価格よりも大幅に低い商品については、より高い注意義務を負うべきである。商品の価格は、製品の品質、知名度、マーケティング戦略などの様々な要因により大きく変化するが、購入した商品の価格が正規品の市場価格より大きな差がある場合、例えば、同種類の商品の通常価格に比べて著しく安い場合は、請負業者が適正な注意義務を果たしていないと認定できる。

 最後に、請負業者の仕入先が合法でなければならない。つまり、請負業者は、仕入先を選定するときに仕入先の資格とその製品品質認定書類を確認すべきである。手続きが不十分な商品を無資格の業者から低価格で購入したことは「無実」とは到底言えず、知りうる又は知るべきことに該当する。この場合、請負業者は侵害責任と賠償責任の両方とも負う。

 二、まとめ

 このようなケースに対処する場合、まずプロジェクトにおける発注者と請負業者の責任分担を確認する必要がある。特に、模倣品購入の実際の責任は誰にあるのか、どこから侵害行為を止めて責任を追及するのかを確認する必要がある。現地の市場監督局や公安機関と協力して、その場で発見された模倣品を押収する。発注者から「請負契約書」を取得し、固定工事プロジェクトにおける模倣品の使用量と金額を確認する。また、侵害者に対する処罰と賠償金請求の根拠として、プロジェクトで実際に使用された模倣品のパッケージと数量を調査する。

 さらに、正確な情報源が判明した場合、さらなる模倣品が市場に流入するのを防ぐ、最大限に商標権者の正当な利益を守るために、なるべくけ早く模倣品の供給者を追跡し、侵害チェーン全体を取り締まったほうがよい。

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