1 はじめに 

 米国連邦取引委員会(Federal Trade Commission、以下「FTC」という。)は、2024年1月26日、トラクターなどの農業機械を生産するKubota North America Corporation (以下「対象企業」という。)が、「米国製」表示規則(Made in USA Labeling Rule)および連邦取引委員会法(以下「FTC法」という。)違反の件について、和解合意(stipulated order)の一部として200万ドル(約3億円)の制裁金を支払うと発表した [1]

 本稿では、FTCの「米国製」表示に対する姿勢と、2021年に発効した「米国製」表示規則に触れたうえで、本事例を紹介し、実務上の示唆について検討する。

2 FTCの「米国製」表示規則とその内容

⑴ 「米国製」表示規則の概要

 FTC法は、FTCに対し、米国の消費者を保護するため、米国を原産地とする表示に関して、「不公正または欺瞞的な行為または慣行」(unfair or deceptive acts or practices)を防止するためのルールを制定する権限を与えている [2]。1997年に発表されたFTCの米国を原産地とする主張に関するエンフォースメントポリシーについての声明(Enforcement Policy Statement on U.S. Origin Claims)は、FTC法の5条(a)により、広告や表示における「米国製」という表現についても、当然に「不公正または欺瞞的な行為または慣行」が禁じられるとした [3]。この声明のとおり、これまでもFTCは、無限定の「米国製」という表示にあたっては製品のすべてまたは実質的にすべての製造が米国内で行われている(all or virtually all made in the United States)ことにつき、証拠による裏付けを求めてきた [4]

 さらにFTCは、2021年7月1日に「米国製」表示規則を採択し、同規則は同年8月13日に発効した[5]

 本規則は、以下の条件が満たされない限り、製品にMade in USA(米国製)と表記することを禁じることを明文化した [6]

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Originally published by Shojihomu Co., Ltd.

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