1 はじめに

 2024年1月19日、2023年2月に設置された経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議(以下「有識者会議」という。)は、10回にわたる有識者会議の委員の検討の最終的な結果を「最終とりまとめ」として公表した 1

 岸田内閣総理大臣は、最終とりまとめが示した方向性を踏まえ、政府が保有する経済安全保障上重要な情報のうちコンフィデンシャル級の情報を保護の対象とする制度を創設する新法案の2024年通常国会への提出に向け、準備を加速化するよう指示した 2

 以下では、最終とりまとめの内容とそのポイントについて説明する。

2 セキュリティ・クリアランス制度とは

 一般に、セキュリティ・クリアランス制度とは、国家における情報保全措置の一環として、政府が保有する安全保障上重要な情報として指定された情報(Classified Information、以下「CI」という。)にアクセスする必要がある者に対して政府による調査を実施し、当該者の信頼性を確認した上でアクセスを認める制度である。

3 新制度の基本的な骨格

 新制度においては、既存のCI保全制度である特定秘密保護法 3を踏まえ、

Footnotes

1. ① 政府として秘匿すべき機密情報の指定・解除のルール

2. ② 当該情報に対する厳格な管理・提供のルール(情報へのアクセスの条件としての個人や事業者に対するセキュリティ・クリアランスの仕組みを含む。)

3. ③ 漏えいや不正取得に対する罰則を定めるべきであるとされた。

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