「同日出願」とは、同一又は類似の商品・役務について使用をする同一又は類似の商標について同じ日に2又は2以上の出願人による商標登録出願があることです。中国では、商標登録出願の同日出願は珍しいものではありません。中国国家知的財産権局の統計データによりますと、2019年度の商標出願受理件数は783.7万件であり、平均で一日の受理件数は約21471件です。こんな膨大な数字の下で、商標登録出願の同日出願はしょっちゅうあることです。

同日出願が競合したときは、どうすればよいのでしょうか?『商標法実施条例』19条に答えがありました。即ち、2又は2以上の出願人が、同一又は類似する商品について、同一又は類似する商標をそれぞれ同日に登録出願した場合、各出願人は商標局の通知を受け取った日から30日以内に、その登録出願前に当該商標を使用した証拠を提出しなければなりません。同日に使用し又はいずれも使用していなかった場合、各出願人は、商標局の通知を受け取った日から30日以内に、自発的に協議することができ、かつ、協議書を商標局に送付しなければなりません。協議に応じられない又は協議が整わなかった場合、商標局は、各出願人に、抽選で出願人一名確定するよう通知し、その他の出願人による登録出願を拒絶します。商標局が通知したにもかかわらず出願人が抽選に参加しなかった場合、出願を放棄したものとみなします。商標局はその旨を書面により抽選に参加しなかった出願人に通知しなければなりません。

従って、同日出願が競合したときは、出願人は次の3つの段階で対応することができます。

Stage 1:使用証拠を提出

同日出願に対して、審査官が「商標登録出願の同日出願に係る使用証拠の補充に関する通知書」を発行します。出願人は当該通知書を受け取った日から30日以内に、抵触商品について当該商標を使用した証拠を提出しなければなりません。規定期間内に使用証拠を提出しなかった場合、又は使用証拠は無効の場合は、使用していなかったと見なしますので、ご留意ください。

当該通知書を受け取った後、出願人は当該商標を登録出願前に使用した証拠をきちんと収集して、規定期間内に提出する必要があります。

この段階では、先使用者が優先して登録を受けられるようになり、その他の出願人の商標は拒絶されることになります。

Stage 2:双方で協議

先使用者が不明な場合に、審査官が「商標登録出願の同日出願に係る協議通知書」を発行し、通知書を受け取った日から30日以内に、各出願人が自分で協議する上、契約の書面を提出するように命じます。同じ内容の商標権は1人しか認められないので、どちらが商標権を取得するのか各出願人で話し合うということです。

同一商標の場合、一方の出願を取り下げて、他方の出願を両者の共同出願にすることが考えられます。例えばAさんの出願を取り下げて、譲渡手続によりBさんの出願をAさんとBさんの共同名義にします。

協議が成立する場合は、規定期間内に協議の結果(つまり権利を受ける出願人の特定)と関連契約書を商標局に提出する必要があります。

Stage 3:抽選

協議も不成立の場合は抽選で決まることになります。審査官が「商標登録出願の同日出願に係る抽選通知書」を発行し、通知書に抽選期日、場所、必要書類及び注意事項などが記載されます。

当選する出願人の商標は初歩査定し公告することになります。ここで注意すべきのは、出願人が抽選に参加しなかった場合、出願を放棄したものとみなしますので、規定された時間のとおりに抽選に参加することは大事です。

同日出願が競合した場合であっても、官辺の要求に従い関連使用証拠を用意すれば、商標の登録を勝ち取ることができます。しかしながら、出願が1日でも早ければよかったのに、余計な時間と精力をかける事になりますので、商標の考案ができた後にすぐ登録出願をしたほうがよいのです。

Originally published by Kangxin, July 2020

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